[映画]嘆きのピエタ

暗くて重い映画だった。
友人から「これはスゴい」と言われて観に行ったんだけど、そして『スゴい」というのは間違いでなかったんだけど、体力が落ちてるこの身には、いささかシンドイものがありました。

あらすじは簡単。「冷酷な借金取り(主人公)の前に、母だと名乗る女があらわれる。」
He met Her.

主人公は、生まれてすぐに親に捨てられた孤独な男。小さな工場が集まる町で、いわゆる「闇金」の取り立てをやっている。

「うちは『トゴ』だから。」っていうのは漫画『闇金ウシジマくん』でよく見るフレーズで、『10日で利息が5割』のこと。この場合でいくと、10万円借りると10日後に15万円に、30日後には(単純計算で)34万円になるらしい。 元本ってなんだっけ、てかんじだ。

この映画では「トイチ」や「トゴ」という言葉がでないから正確な金利は分からないけど、どの債務者も言っているのは「3ヶ月で利息が元本の10倍」というシステム。
だから300万ウォンの借金が、いつのまにか3000万になる。

そもそも、日本円でいう10万や20万を「そんなとこで借りざるを得ない人たち」なんだから、返せるわけがない。どこかの会社員で、末日になったら給与が出る、っていうなら希望もあるけど、みんな零細企業の工場長かなんかだ。仕事しないとカネは入らない。そして稼げるほどの仕事はどこもない。

じゃあどうする。取り立てる為に主人公のとる行動は決まっている。「障碍者にさせて保険金で回収」する。これ、一択。
工場のローラーで腕をプレス。ビルの上から飛ばせる。いずれも死なない範囲で。
障碍者になって母の重荷になるくらいなら死んだ方がいい、死なせてくれと頼む債務者に「死んだら保険金の手続きが面倒臭い。」と答え、淡々と「仕事」をこなす主人公。
無表情に歩くその姿は「死神」然としている。

朝起きて、食事をして、仕事する。楽しいことなどこの世に何一つないっていうような顔をして、安い焼酎を飲む。たぶん友人も恋人もいない、孤独な男。

そこに見慣れない女があらわれる。おまえを捨てた母親はこのわたしだと。許して欲しいと涙を流す。

主人公は彼女を認めるのか、許すのか、信じるのか? なんにせよ、これ以上はネタばれってやつだろう。この時期に食欲なくしたい人には鑑賞を薦めます。



※途中に『社長』と呼ばれる上司がでてくること、「代わりはいる」と言われているところで、主人公が『雇われの、取り立て屋』であることがわかる。黒い会社組織の末端か。

※主人公が行う、「障碍者にさせてカネを回収」は極めて残忍な仕事であるが、その行為自体には、性癖としての「サディスティックさ」は見受けられない。(チーマー的な兄さんたちがギャハギャハ笑いながら迫ってくる『ウシジマくん』とは対照的)終止淡々として、ダルそう。快楽性とか、ストレス解消的な意味はたぶんなく、ただ単純に、無気力な主人公が「ラクな仕事のこなしかた」がそれだったんだと思う。
本来なら「生かさず殺さず生殺し」にして搾り取るのが闇金の基本だと思うんだけど、(妻や家族をフロに沈める、とか)そういった引き延ばしは一切せず、ただただ奪う。牛や豚を屠るような感覚なのかもとも思った。


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