自転車で走った夕方のこと。(おもに自分にむけて)

うっすら眠いし、ほんとはやらなきゃならないこともいくつかある。でもいまなんだか書きたくなったのでちょっとだけ書いてみる。

「他人の存在」を初めて明確に意識した日のことだ。たぶん中学1〜2年生のことだったろうとおもう。
きっとタイミングとしては遅いんだろうな。でもわたしはそうだった。

わたしは記憶力が極めて弱くて、当時のことっておぼろげにしか思い出せないんだけど、(だから思い出した時にここに書いていこうって思ってるんだけど)そのころは「家族と親しい友人」以外のすべての人を「RPGの登場人物」として認識していたような気がする。
当時、ゲームボーイの「牧場物語ボーイミーツガール」にハマっていたんだけど、「他人」ってそのなかに出てくる「町のおねえさん」とか「山のおじさん」とか、ちょうどそんなイメージだった。なにかアイテムをプレゼントすると「好感度」が上がって、いつのまにか『仲良く」なれるみたいなね。(ん?RPGというよりギャルゲー的な考えかな)
当然のことながら、世界はゲームじゃないし、わたしは案の定あんまりうまくいってなかった。「これでいいはずじゃん?なんで??」なんてけっこう悩んでいた気がする。そりゃそうだよ、って今ならアドヴァイスしてやれるけど、その時のわたしはベストを尽くしていたんだからしょうがない。

「その日」はピアノを習いに二駅先まで自転車でいく日だった。 週一度のレッスンを終え、自分の家まで戻る途中、ちょっとした気まぐれに一本違う道を選んでみた。いつも通らない道だ。そこは坂のやたら多い住宅街で、違うルートにウキウキするわたしはガンガン下って、ガシガシ登っていった。(余談だけど、知らない道を自信満々に爆走するクセはいまも治っていない。) 気がつくとぜんぜん知らない場所にきているし(そりゃそうだ)日が暮れ始めていた。
急に心細くなりまわりをみわたすと、前も後ろも同じような家ばかり並んでいる。
太陽が家々の奥に隠れて、空と雲がむらさきとオレンジに染まっている。
自転車のサドルにまたがりながら靴底を地面につけ、停まってみると聞こえてくる音があった。
音というか声。わたしの横を通り過ぎていく制服姿の女の子たちの話す声が耳に届いた。名前も知らない、自分と同じくらいの女の子たち。リュックやかばんが揺れ動く音に、彼女たちの話し声。笑い声。それらは何ひとつ意味のある音ではなかった。けれども、その意味のない、さざなみのような音を聞いてわたしは「知らない町の知らない誰か」が自分と同じように食べ、話し、なにかを考えているってことに、突然気づいた。 これはじつはすごい衝撃的なことだったんだけど、とくに誰に話すでもなく記憶のなかにしまってあった。たまに、雲が夕焼けに色づくのを見たときにそっと取り出して、思い出してみてるだけの「その日」のシーン。だからわたしは夕暮れ時が好きなのかもしれない。




※だからといって「その日」以降、人付き合いが飛躍的に上達した、とかは残念ながら、ない。
※人は「絶対まっすぐ家にかえる人」と「寄り道する人」とではっきり分かれると思う。




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